世界の新しい準備通貨を構築する - CBDCには本当に許可型ブロックチェーンが必要なのでしょうか?

世界の新しい準備通貨を構築する - CBDCには本当に許可型ブロックチェーンが必要なのでしょうか?


Cardano-FoundationCardano Foundation Team

世界の新しい準備通貨を構築する - CBDCには本当に許可型ブロックチェーンが必要なのでしょうか?

(Written by @ElliotHill of the Cardano Foundation)

2020年から2021年初頭にかけてバブルの様相を呈した金融市場は、改めて金融環境の安全性の維持に注目することになりました。

株式市場の劇的なボラティリティ、パンデミックに起因する不確実性、実態のある現金からの離脱などから、世界中の多くの政府が伝統的な準備通貨の代替案を模索しています。

調査した新しい取引所では、例外なくブロックチェーン技術を検討しており、デジタル通貨の発行を目指しています。しかし、他の新しい技術と同様に、完全なデジタル通貨の発行プロセスはまだ定まっていません。

現在、多くの銀行は既存のデジタル通貨を使用する代わりに、独自のCBDCを立ち上げようとしています。ここでは、CBDCが何であるかを探求し、ブロックチェーンの世界でどのような意味を持つのかを明らかにします。また、カルダノのような無許可ブロックチェーンが、非中央集権化を進めることでCBDCに重要な利点をもたらす理由についても説明します。

CBDCとは何でしょうか?

中央銀行のデジタル通貨は、多くの場合CBDCと省略され、国家レベルで発行された米ドルや日本円などの法定通貨をデジタル化した物です。CBDCは、中央銀行または国立銀行、あるいは代行する政府機関によって発行され、多くのユースケース が研究されています。

従来の法定通貨をデジタル形式にすると、支払い処理業者を必要とせずに即時かつ安価に国境を越える支払いを行う道が開かれ、また、銀行間証券決済プロセスを促進することができます。これらは現金ベースの通貨と比較して、マネーロンダリング対策や、顧客の本人確認作業が改善されます。小売店ユーザーにとって、CBDCは銀行コストを削減し、さらには金利や銀行の利益も改善する可能性があります。

世界中の複数の管轄区域で、各国はCBDCの立ち上げに対する関心を公表しています。2020年10月 中国は、中国人民銀行の主導でかつてない規模でのデジタル人民元の試験プロジェクトを完了しました。CBDCのレースで世界をリードする中国人民銀行は、デジタル人民元をランダムな参加者50,000人のフォーカスグループに配布しました。

米連邦準備制度理事会(FRB)も CBDCの立ち上げを検討 しており、デジタル米ドルを発行することの利点を評価分析しています。欧州では、イングランド銀行、スベリゲス・リクスバンク(スウェーデン)、スイス国立銀行、欧州中央銀行もそれぞれの法定通貨でCBDCに取り組んでいます。

スイスに本社を置く国際決済銀行(BIS)は、世界中の銀行と関連して、CBDCに必要な3つの基本原則を定めました。

  • 現金や「他のタイプのお金」と共存し、
  • 物価や金融の安定を支え、
  • イノベーションや効率性を促進する。

これらの特性が必要であることから、規制当局や発行銀行は許可型ブロックチェーンを研究するのが一般的となっています。メンバーシップを調整してデータにアクセスできるユーザーを上手く管理 しながらイノベーションを促進しています。

場合によっては ブロックチェーンとは異なるしくみ .のCBDCを探す事もあります。しかし、スケーリング、サイドチェーン、柔軟なトークン発行などの最近の無許可型ブロックチェーンの開発により、CBDCやパブリックブロックチェーンの流れが変わるかも知れません。

まずは、許可型ブロックチェーンと無許可型ブロックチェーンの違いを明確にしましょう。

許可型と無許可型 — 違いは何ですか?

カルダノはよく「許可型」または「パブリック」ブロックチェーンと表現されます。つまり、背景、所属、場所に関係なく、誰でもオンチェーン情報を探索し、ブロックチェーンの履歴を閲覧できます。パブリックブロックチェーンにはノードオペレータが分散しており、通常は技術的な専門知識と必要なハードウェアを持つ人なら誰でもノードを実行できます。カルダノでは、この役割はステークプールオペレーターが担っています。

一方、許可型ブロックチェーンまたはプライベートブロックチェーンは、一定の数の参加者(通常は企業や機関の利用者)へのみアクセスを許可します。許可型ブロックチェーンは、通常、ブロックチェーン上にバックエンドインフラストラクチャを構築したいが、トランザクション元帳の公開および可視化を必要としない民間企業によって使用されてきました。

一般的に許可型ブロックチェーンでは、分散型ノードオペレーターの代わりに、ブロックチェーン履歴のバージョンに同意するフェデレーションノードのグループで合意を形成します。これらのフェデレーションノードは、通常、ブロックチェーンを使用する商業団体または企業によって運営されるため、「許可」という言葉が使用されます。許可型ブロックチェーンでは、基盤とするブロックチェーンのセキュリティを企業が検証する形でオープンソースコードを使うことも可能です。

よく使われる許可型ブロックチェーンとして、Linux財団によるハイパーレジャーとR3によるCordaがあります。事業体の設定には、許可型と非許可型のブロックチェーンがあり、いずれも個々のメリットとユースケースがありますが、現時点で銀行は通常、許可型の元帳に注目しています。

無許可型ブロックチェーンは、CBDCにメリットがありますか?

許可型ブロックチェーンは、ブロックチェーンへのアクセスを制御するのに有益かもしれませんが、セキュリティの問題をもたらします。他の似たような集中化した記録システムと同様に、攻撃に対して脆弱です。

ワシントンに拠点を置く公共政策組織ブルッキングスによれば、1人の許可されたノードオペレーターが 一度データを漏洩させてしまう と、すべてのオンチェーン参加者の財務履歴と関連データが公になってしまう可能性があります。

2020年初頭にイングランド銀行(BoE)が発表したディスカッションペーパーの中でBoEはCBDCについて、ある程度は銀行による許可型とすべきだが、出来る限り分散化を追求することに利益があるかもしれない、と提案しています。

イングランド銀行は、パブリック分散元帳の 潜在的な利点 は以下の 3つであると述べています。

  • レジリエンス : 公開台帳に構築されたデジタル通貨の高可用性と保証、
  • プログラマビリティ : スマートコントラクトとトークンを使用して「プログラマブルマネー」を可能にし、
  • リーチ : ブロックチェーンを介したデータ共有により、より多くの個人へアクセスを提供し、
  • 暗号化の使用 : 公開鍵暗号方式は、トランザクションを送信する当事者にその実施権限がある事を確認するのに役立ちます。

CBDCを使用するには、小売ユーザーや他の参加者は、発行銀行によって許可されたコア元帳にAPIを介する通信を承認された支払いインターフェイスプロバイダを介して取引することができます。

基礎となる元帳とのインターフェースには仲介者が必要なため、基盤となるブロックチェーンが許可型か非許可型かに関係なく、これらのプロバイダを通じて各ユーザーにおいてプライバシーを保護する手順が必要です。

すべての人のための公共のデジタル通貨

パブリックブロックチェーンが成熟し、新しいプライバシー保護機能をリリースするにつれて、CBDCの立ち上げを模索する銀行は、分散型または部分的に非許可型のソリューションを選択する可能性があります。

少なくとも、CBDCは、データ損失に対する回復力や分散型ネットワークの維持による資産の高可用性など、分散型技術の複数の要素で恩恵を受ける可能性があります。同様に、パブリックブロックチェーンは、グローバルな金融システムの透明性を高め、人々の銀行業に対する信頼を高めます。

将来的には、中央銀行当局が安全な使用を確実にするために、ある程度関与する形で国家レベルのデジタル通貨がパブリックブロックチェーン上で立ち上がる可能性があります。

CBDCについてあなたはどのようにお考えですか?法定通貨をデジタル資産で置き換える必要があると思いますか?CBDCはオープンで透明な元帳に構築されるべきだと思いますか?

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