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イントロダクション
日本でCardanoブロックチェーン事業を行うにあたっての規制を網羅的に整理したドキュメントを作成することが目的である。2022年11月時点の法令に基づき作成されています。
当ドキュメントの利用者は事業者を想定しているため、個人の相続・寄付・譲渡などは大きく扱っていません。
本ドキュメントは法務、税務、財務アドバイスではなく、当ドキュメントの利用による直接的間接的いかなる損害についても責任を負わないため、利用は自己責任にてお願いいたします。
また、当ドキュメントはフィードバックを通じてより正確に、充実したものへと発展させたいと考えています。当ドキュメントにコメントを付す形でのフィードバックをお待ちしております。
(1)ステーキング(委任・運用)(新規発行と不特定多数Tx手数料のアドレスAへの移転)
AはBの運営するプールCに委任を行った。
プールCの働きにより報酬ポッドDから、Aは委任によるステーキング報酬を手に入れた。
プールCの働きにより報酬ポッドDから、Bは運用によるステーキング報酬を手に入れた。
サイト上で手数料は今後ずっとー%にする、プールは最低X年は運営を続ける等の表示はない。
[1]法的論点
(a)AとBの間に何らかの権利義務関係はあるか?
例えばBがプールCを廃止したり手数料100%につり上げた場合、何らかの主張ができるか?
AまたはBは、何らかの業規制や消費者保護規制などを受ける可能性があるか?
⇨「ない。AとBの間で支払いも約束もないなら、何もない。」
(b)Bが何らかの約束(サイト上で手数料は今後ずっとー%にする、プールは最低X年は運営を続ける、年間利益率はX%になる)を行っていた場合、何らかの権利義務は生じるか?
AまたはBは、何らかの業規制や消費者保護規制などを受ける可能性があるか?
⇨「ある。約束を行っていた場合に権利義務関係が生じる。景品表示法の規制も受ける。」
[2]税制論点
(1)所得税・法人税
A,Bいずれもステーキング報酬は取得時に時価で課税される。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/index.htm
(2)消費税
A,Bいずれも、マイニング(ステーキング)による暗号資産の獲得については、消費税の取り扱いとしては、消費税の課税要件である「対価を得て行う取引」を満たさないため、「対象外」と考えられる。マイニング(ステーキング)の報酬が役務の提供による反対給付として対価性を有するかどうかについては、役務の提供を受ける者、反対給付をする者の個別具体的な存在が特定されず獲得者が不特定であることからすれば、対価性を認識することは困難のため。
(2)投票やアドバイザーのトレジャリーからの引き出し(トレジャリーアドレスからアドレスAへの移転)
提案者AはCを行うと約束を行い、投票者Bから投票され、財務金庫から投票報酬を入手した。
[1]法的論点
AとBの間に何らかの権利義務関係はあるか?
⇨「明確にAに何らかの損害がないならば、ない。」
[2]税制論点
(1)所得税・法人税
(a)返還をおこうと明示していない場合
具体的な定めがないため、原則通り収入時の時価で所得・売上として計上される。
(b)将来の収益から返還を行うと明示している場合
実質的に借入であるならば、借入となる可能性がある。
(2)消費税
個別の提案を検討する必要があるが、一般的には、消費税の取り扱いとしては、消費税の課税要件である「対価を得て行う取引」を満たさないため、「対象外」と考えられる。報酬が役務の提供による反対給付として対価性を有するかどうかについては、役務の提供を受ける者、反対給付をする者の個別具体的な存在が特定されず獲得者が不特定であることからすれば、対価性を認識することは困難のため。
(2)トークンの性質別の、発行業者の発行、保管交換業者の保管交換送金、支払受入業者の支払、ユーザーの適用法令
[1]法的論点
トークンの性質別に、次のように法令が適用されていくと整理できる。非常に複雑であるため、トークンの発行時には慎重な検討が必要である。
(1)発行
投資性(利益分配等) | 有償発行 | 通貨建資産 | 金銭による払戻し可能か? | 不特定の者とモノサービスの対価として使用可能 | 規制上の呼称 | 呼称 | 一般呼称 | 規制レベル | 例 | 発行業者の発行・保管交換業者の保管交換送金 | 支払受入業者の支払 | ユーザー |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
○ | - | - | - | - | 第1項有価証券 | トークン表示型第ー項有価証券 | セキュリティトークン | 最大 | トヨタの株を電子化した | 金融商品取引法 | - | - |
○ | - | - | - | ○(内閣府令) | 第1項有価証券 | 電子記録移転権利 | セキュリティトークン | 最大 | ICOをして運営収益分配できるトークン発行 | 金融商品取引法 | - | - |
○ | - | - | - | (内閣府令) | 第2項有価証券 | 適用除外電子記録移転権利 | セキュリティトークン | 大 | ICOをして運営収益分配できるトークン発行でプロ投資家かつ譲渡制限あるもの | 金融商品取引法 | - | - |
- | ○ | 1号暗号資産・2号暗号資産 | 暗号資産 | 暗号資産 | 中 | ADA | 資金決済法 | - | ||||
○ | ○ | (緊密のみ) | 自家型前払式支払手段 | 前払式支払手段 | 前払式支払手段 | 中 | JPYC/商品券的トークン | 資金決済法 | 資金決済法 | - | ||
○ | ○ | ○(第三者可能) | 第三者型前払式支払手段 | 前払式支払手段 | 前払式支払手段 | 大 | - | 資金決済法 | 資金決済法 | - | ||
○ | ○ | ○ | ○ | 通貨建資産/為替取引の手段 | ステーブルコイン | 法定通貨担保型ステーブルコイン | 最大 | USDT | 資金決済法・銀行法 | 資金決済法・銀行法 | - | |
- | ○ | 1号暗号資産・2号暗号資産 | ステーブルコイン | 暗号資産担保型・アルゴリズム型ステーブルコイン | 中 | DAI・Djed | 資金決済法 | - | ||||
- | - | NFTや記念等のトークン(アート系列NFT・その他NFT含む) | - | 小 | NFT | - | - |
(2)燃焼
特になし
[2]税制論点
(1)発行(将来的に、自社トークンについては改正が予定されている。)
コインを取得した人ー当コインを取得するのにかかった費用を取得原価に参入する。
コインを発行した人ー当コインの発行にあたり入手した資産がある場合は時価で資産計上の上、通常売上とすると考えられる。
コインを売却等により手放した人ー手放した時に売却損益を認識する。
(2)燃焼
燃焼が証明可能な場合は通常損金計上可能と考えられる。
(4)Defi(資産をロックするスマートコントラクト(Plutusスクリプト)の作成)の作成送信・それへの参加形態別の論点
[1]法的論点
ギャンブル(これ以降はギャンブルに該当しない前提とする)/ウォレットサービス(秘密鍵は個人で管理型)/レンディング(プール型)/レンディング(P2Pマッチング型)/DEX(AMM型)/DEX(P2Pマッチング型)/サイドチェーンへの移転(ラッピング)/ペイメントツールサービス/オラクル/DID/NFT(メタバース含む)/ランチパッド/DAOツールなどの多岐にわたるプロダクトが想定される。これら各々にコメントを付すことは非効率的のため、一般的に、法律上の論点となり得る可能性のある場合について列挙していく形とする。
(1)ギャンブルに相当する性質を持つもの:賭博罪・賭博場開帳図利罪の適用可能性あり
次の2点を満たすプロダクトの開発提供または利用はこれらの罪に該当する可能性がある。
①勝敗の偶然性ー当事者の技量によって勝敗の結果に影響がある場合であっても、勝敗があらかじめ歴然としている場合でない限り、多少なりとも偶然の事情によって勝敗が左右されえるような場合には、偶然性があるということになる。例えば囲碁などもそれに該当する。
②財物や財産上の利益の得喪を争う行為ー勝者が財産上の利益を得て、敗者はこれを失うこと。
(2)公衆に反復継続して暗号資産の交換、交換の媒介、管理を行う場合:暗号資産交換業者の登録が必要となる可能性あり
例えばDEXにあたっては、その非中央集権型コントラクトそのものに関しては交換業「者」ではないと考えられるものの、そのコントラクトへアクセスするためのツールやサイトの提供に関しては媒介と考えられる可能性がある。
どこまで非中央集権と考えられるかは個別に判断する必要があるが、完全に非中央集権型のプロダクトがあったとして、それそのものに関しては業「者」とはいえず当法律の規制対象とは考えづらいと考えられる。実態として特定の業者の中央集権型の要素が多い場合は、対象となる可能性が考えられる。
例えばウォレットサービスにあたって事業者がユーザーの秘密鍵を一切所有していない場合には、利用者の暗号資産を管理できないため、管理を行う場合に相当しないと考えられる。逆にこれを所有する場合は、管理に該当すると考えられる。
※また、犯罪収益移転防止法の特定事業者に該当する可能性がある。
※サービスに、トークンの発行が含まれる場合は「(2)トークンの性質別の、発行業者の発行、保管交換業者の保管交換送金、支払受入業者の支払、ユーザーの適用法令」を参照。
※特許法・著作権法は適用可能な可能性がある。実用新案法は通常難しいと考えられる。不正競争防止法は通常、適用される可能性として低いと考えられる。(適用される場合は限定的であるため、知財法系列は記載は最小限とする。)顧客の暗号資産のアドレスも個人情報保護法の対象となりうるため慎重に扱う必要がある。
[2]税制論点
税制面から見ると、これらのプロダクトの運営、利用は、抽象的には、「暗号資産現物・暗号資産預け金(預け処理、返済処理)・暗号資産貸付金(貸付処理、返済処理)・暗号資産のDefiへのロック(貸付処理、返済処理)」が行われていると考えられる。これらにおいて、各々、それらの取引の実行時に時価評価損益計上を行うか?が論点となる。
これらは各々個別のケースで慎重な判断が必要であるが、通常、法人の場合は時価評価損益の計上を行う、個人の場合は時価評価損益の計上を行わない可能性が高いと言われている。
法人のケースにおいては、明確な法律・基準が存在しないため、経済的実態に即して会計処理が行われると想定され、取引時点で暗号資産が移転をすることからその時の時価で換算すると考えられる。
個人のケースにおいても、明確な法律・基準が存在しないが、慣例としてウォレットと取引所間での移動で雑所得を認識する処理を行う実務はない。分散型レンディングを介しての貸付や預け入れに関しても同様と考えられる。
(5)その他の論点
税制上の論点については毎年FAQにて明確化が進められているが、その他、Cardanoブロックチェーンで事業を行うにあたっての論点となり得る可能性のあるものに触れていく。
(1)法人において、暗号資産の期末時価評価は、貸付金、借入金、預け金、預かり金などのケースで行うか?
明確な法律・基準が存在しないため、経済的実態に即して会計処理が行われると想定され、外貨のケースと同様に期末の実態を示すために時価評価されると考えられる。
(2)売買取引は消費税非課税取引となる。
(3)個人の場合に含み益課税がされない理由:雑所得は類似する所得の処理による。譲渡所得に類似するが、譲渡所得は譲渡時に課税される。従って、譲渡を行っていない個人の暗号資産の含み益は課税されない。同様の理由でウォレットと取引所の間の送金も課税されない。
(4)個人で、ハッキングされた場合、諸説あるが暗号資産は支払手段でもあるので、雑損控除の対象になりうるとも考えられる。
(5)5%を取得原価とできるルールについて、その取得原価が実際はわかっている場合でも適用できるのか、明確ではないものの、タックスアンサー1464より株式の場合にこれを適用できるため、暗号資産の場合もできる可能性は高いと考えれる。同様の理由でハードフォークにより取得した暗号資産についても適用できる可能性が高いと考えられる。
(6)NFTの売却益については基本的に譲渡所得となる可能性がある。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1525-2.htm