地球に負担をかけない世界コンピューター

世界中のコミュニティは、2020年を通して過去10年間で最も不運な年に入るであろう1年を過ごさざるを得なくなっています。Covid-19のパンデミックにより、企業も個人もなく、普通の日常生活を一時的に変更することを余儀なくされました。

ウィルスとの戦いに集中する中では私たちは、現在私たちが集団としてかつてないほどの近さで直面している最大の課題の1つ、気候変動、あるいは環境破壊、自然生息地の喪失といったことを簡単に忘れてしまいます。

テクノロジー企業、特に、既に高度に分散しているブロックチェーンスペースの企業は、Covid-19の制限によって課せられた新しい作業環境に対処する態勢が整っています。しかし、私たちは世界的な環境危機へのアプローチについても同様に革新的でしょうか?

あらゆるWebページ、アプリケーション、検索エンジン、または暗号技術を使ったトランザクションの背後には、コンピューティングのための物理的インフラストラクチャ(設備)とデータストレージが大量にあり、それらはすべて実行し保守するための電力を必要とします。このテクノロジーの隠れた環境コストは、コンセンサスに到達するために計算能力を使用する初期のブロックチェーンプロトコルよりも何倍も大きくなっています。

現在、私たちはプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を使うブロックチェーンが業界の緑の認定(green credentials )を変革させる方法を発見しようとしています。コンセンサスメカニズムの改善がどうブロックチェーンの環境に対するインパクトを低下させられるのかに注目し、環管理権権や持続可能な開発に分散元帳技術で力を与える新しい方法を模索しているのです。

世界コンピューターとはどういう意味ですか?

世界コンピューターという概念は、イーサリアムブロックチェーンについて説明するために最初に使用されましたが、これはスタンドアロンのブロックチェーンプロトコル全体にもっと広く適用できます。基本的に、世界コンピューターは分散型元帳であり、世界中の複数の分散型ノードと参加者(コミュニティ)によって維持されます。

このように、単一の参加者がネットワークを制御することはなく、理論上、複数の参加者が公平かつ持続的にプロトコルを使用することができます。ブロックチェーン テクノロジーの進化について、詳しくはこちらで以前の(英語の)記事をご覧ください。

Cardano財団では、Cardanoブロックチェーンを、分散型の社会金融オペレーティングシステムとして位置付けており、これは世界コンピュータに似た概念です。Shelley以降、私たちは既にCardanoブロックチェーンの完全な分散化に向けて順調に進んでいます。

結果的に、より広範な利益について、環境と社会経済の両方で考える良い機会となっています。これはCardanoの開発を導いたものでもあります。

持続可能な開発のためのブロックチェーン

コンセンサスのインパクトを減らすことは、持続可能性とスケーラビリティにとって極めて重要ですが、プロトコルレベルで環境への影響を減らすことができる1つの方法にすぎません。業界として、私たちは今、環境と社会の前向きな変化より広い環境でどのように促進するかについて考える必要があります。

環境管理とサービスの行き届いていないコミュニティに対する社会的エンパワーメントは、Cardano財団と、現実にはCardanoエコシステムの全参加者にとって常に焦点となる中心的な分野になっています。

例えば、エコシステムパートナーであるIOHKは、最近、国連と共にハッカソンチャレンジ(英語)に参加して、Marloweの金融契約が国連の持続可能な開発目標をどのように前進させられるかを模索する旨を発表しました。Cardano財団もアフリカの複数の国との協力を通じて、さらには業界パートナーシップの模索を通して、これらの目標を推進しています。

トークン化、分散型アプリケーション、スマートコントラクトがGoguenを通じて利用可能になるにつれ、私たちは、原材料の原産地や源泉の追跡や炭素クレジットの発行等の環境保護にCardanoのブロックチェーンテクノロジーを活用した複数のプロジェクトを歓迎し、奨励していくようになると予想しています。

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)コンセンサスのエネルギー使用量

PoWコンセンサス メカニズムに対する主な批判は、特にブロックチェーン業界以外の人々によるものとして、エネルギー使用の観点から見て環境的な持続可能性を欠いているということです。これは、新しいブロックを検証するために求められる暗号技術に関する問題の解決に大量のハッシュ能力や計算能力が費やされるためです。

当然のことながら、最も人気があり、最も長く使用されているブロックチェーンとして、この批判の多くはBitcoinが標的になっています。簡単にGoogle検索をするだけでも、Bitcoinのエネルギー使用量を各国のそれと比較し、その見積もりは前年度比で増加しているようだといったニュース記事が多数見つかります。

例えば、2018年5月、ブロックチェーンの研究者でエコノミストのAlex de Vriesは、Bitcoinネットワークが年間でアイルランドと同じくらいのエネルギーを消費しており、それはエネルギー消費量で世界第66 位だと明らかにしています。ちょうど1年後の2019年4月、de Vriesはこの推測を修正し、Bitcoin ネットワークのエネルギー需要は増加してスイスのそれと比肩できるほどとなり、エネルギー使用量で世界第44 位だとしました。

また、Bitcoin ネットワークは、PoWマイニングパワーを使用してコンセンサスに達する75%のブロックチェーンのうちの1つのプロトコルにすぎず、また、環境に大混乱をもたらすことなくブロックチェーンをグローバルに拡張したければ、PoWはコンセンサスへの持続不可能なアプローチであると簡単に推測できる点もよく考えてみましょう。

確かにこれは複雑な話題です。専門家によっては、PoWは世界中の物理的な法定通貨を鋳造または印刷する工程のために金属を採掘し、樹木を伐採するよりも遥かに小さなエネルギーを使用しており、そう考えれば、PoWベースの暗号通貨も世界的に採用されれば法定通貨と交換できる持続可能な交換媒介物となり得る、と主張することもあり得るでしょう。

ただし、分散型元帳の機能は現在、単純なバリューレイヤーを遥かに超えて拡張されており、ブロックチェーンは真にボーダレスな社会金融オペレーションシステムになる可能性があります。

この可能性が解き放たれるとしたら、私たちは、大量のハッシュパワー消費を要せずコンセンサスに到達する実証済みの方法を探す必要があります。Cardanoの場合と同様、これはPoSコンセンサス メカニズムを採用するということです。PoSコンセンサスがPoWよりも環境的に優れている理由を調べてみましょう。

PoSコンセンサスのエネルギー使用量

以前に「Cardanoのコンセンサス vs 他のブロックチェーン 」という記事でPoWとPoSコンセンサスの違いを深く掘り下げたことがありましたが、ここではなぜPoSが省エネの点で優れているのかよく見てみましょう。

設計上、PoSブロックチェーンは、PoSブロックチェーンよりも大幅に低いハッシュ電力を必要とするため、従って、必要なエネルギーも小さくなるのです。2017年にOuroboros プロトコルがIOHKの研究者によって最初に導入されたとき、重要な焦点の1つはPoWと同様のセキュリティ保証を提供し、しかし必要なエネルギーが大幅に少ないコンセンサスプロトコルを設計することでした。

Bitcoinやその他のPoW ブロックチェーンのような、リーダーの選挙プロセスに参加するために計算リソースに投資する採掘者ではなく、Cardano上のステークプール オペレーターは、Ouroboros プロトコルに依り、ランダムにスロットリーダーを選択し新しいブロックを検証します。これらのスロットリーダーは、現在のブロックチェーン元帳に従い、各プールが所有するステークに比例して、Cardanoブロックチェーン上のアクティブなステークプールから選択されます。このように、Cardanoは、より多くのハッシュ電力を必要とするPoWブロックチェーンのように垂直方向ではなく、新しいステークプールの追加による水平方向にスケーリングします。

これにより、PoWプロトコルのようなエネルギーを大量に消費するマイニングの必要性がなくなります。このエネルギー大量消費はブロックチェーンテクノロジーの拡張性と採用に対する主要な障壁の1つです。Ouroborosプロトコルは非常にエネルギー効率が高いため、Cardanoノードの実行を消費電力がわずか15〜18ワットの単純なRaspberry Piマイクロコンピューター上で行えます。

したがって、Ouroboros を介したCardano ブロックチェーンに関するコンセンサスは、Bitcoin プロトコルよりも400万倍以上エネルギー効率が高いと推定されています。これは、Cardano をグローバルな社会金融オペレーティングシステムにする真に価値のある数字です。

OuroborosプロトコルとCardanoの環境保護への取り組みについて、詳しくはCardano.orgでお読みいただけます。Cardanoでのソリューションの構築に参加したいという方は、こちらの開発者ポータル待機リストにサインアップしてください。

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