IOHKブログ:新たな目的をもった委任

サステナブルで多様性のある分散型ネットワークを推進するために、新たなADA委任プログラムを始動

2020年11月24日 Tim Harrison 読了時間7分

Delegating with fresh purpose

7月のShelleyメインネット配信は、Cardanoのステーキングと委任に新たな扉を開きました。以来、コミュニティによる支援は高まりを見せ、1200のステークプールが作成されました。その多くが成功しており、可視性または管理ステーク数、あるいはその両方において、コミュニティの中でも早期の利を得ています。と同時に、一部のプールはまだ頭角を現していません。kが最適でなく、飽和閾値が高く設定されていることにより、最初のブロック生成に至っていないプールにとっては特に厳しい状況となっています。

これは変わろうとしてます。12月6日(日本時間7日)、Shelley配信時に150に設定されたkパラメーターが500に引き上げられます。これは、より多くのステークプールにブロックを生成する機会を与えてスポットライトの中へと押し出し、委任者たちがステークを拡散させるように促します。これは重要な動きですが、今後数か月にわたり起こると期待される、エコシステムとステーキング体験の進化の1つに過ぎません。

今週、私たちはステーキングアプローチの変更も発表します。当初、IOGは20のパブリックプールを作成しました。これは1つには、ネットワークの状態と、「実際」のプールを幅広く実行した場合の技術的ダイナミズムを監視およびテストしたかったためです。また、運用上およびセキュリティ上の理由から、プライベートプール内ではなく、こうしたプール全体にIOG所有のADAをステーキングすることにしました。

12月後半、IOGは1つのパブリックプールを除きすべての所有プールを終了し、自社ステークのほとんどをプライベートプールへと移します。1つのプールは運用を続けます。これは、象徴的であると同時に実用的な動きでもあります。私たちは、プールオペレーターとしてのパブリックプレゼンスを保つとともに、これに伴う技術的および運用上の経験から利益を得たいと思っています。

アプローチの進化

IOGは、暗号スペースにおいて比類のないビジョンと使命への熱意に燃える研究開発企業です。Cardanoの長期的な普及と成功にコミットしています。私たちはまた営利団体でもあり、この点から商業的に成功する義務があります。私たちが使命と目的に縛られている限り、目標を達成し続けることを可能にする経済的成功を維持することにも、同じように強力なモチベーションがなければなりません。

Cardanoの生みの親として、私たちには果たすべき広く深い役割があります。技術的な投資とともに、エコシステムを育むことに役立つその他の方法にも投資をしたいと考えています。

新しい戦略

Cardanoが完全な分散化への道を進むにつれ、IOGは委任に対するアプローチを進化させています。所有するステークをプライベートプールに移動することに加えて、私たちは所有ADAの約15%をCardanoコミュニティに委任することにしました。このADAは、営利団体としての私たちに求められる財政的責任のある立場を維持しながら、私たちの長期的ビジョンを支え、Cardanoの成長を支え、私たちが支持する価値感を再確認するために使用されます。

IOGの委任戦略は2つの要素に基づいています。いわゆる「目的型」プールのサポート、そして、「培養型」プールを通じたネットワークセキュリティ、技術的優位性、分散型イノベーションの促進です。

目的型プール

この主要な目的は、経済的包摂という幅広い目的と使命、すなわち、持続可能な技術の分散化、教育を通じたエンパワメント、すべての人への経済的アイデンティティの開放を支援していると思われるプールへに委任することです。

目的型プールは、ブロックチェーンが多大なインパクトを与えうる発展途上国でホストされている運用や、教育的目標を支えることに集中した運用も含みます。目的型プールには、慈善活動に基づいて運営されているプール、コミュニティのサービスが行き届いていない、または少数派のメンバーをサポートしているプール、サステナブルなエネルギーの使用に取り組んでいるプールなども含まれます。

これらは、今日の具体的な価値を生み出すだけでなく、明日の社会に影響を与えることを目的としたプールです。大胆な野心ではありますが、私たちは既にこれに駆り立てられています。したがって、エコシステムで同様の価値観を共有しているプレーヤーをサポートするために、自社ADAの一部を使用したいと思います。

培養型プール

培養型プールでは、小規模なステークプールとそのオペレーターをサポートし、とりわけ所有者、地理的分布、分散型ブロック生成といった観点から、プールエコシステムの多様性を最大化することに焦点を当てています。このようなプールは成長やネットワークにおける役割を超えた付加価値の提供といった志を持つ場合も持たない場合もありますが、とにかく前へ進むことができるステージへまで連れていきたいと考えています。

もちろん、両方のカテゴリーに当てはまるプールもあるでしょう。これらのカテゴリーは互いに排他的ではなく、当初の基準はプログラムの発展に連れて臨機応変なものとなります。ただし、すべてのプールに一定レベルのパフォーマンスと潜在能力が(健全な熱意とともに)期待されます。各プールの追跡記録をつぶさに見ていくとともに、コミュニティによる評価と影響も重要なファクターとして考慮します。また私たちは、初期の段階において、こうした核となるカテゴリー外でも突発的に賞金を出す権利を留保します。このプログラムは明確な目的を持って推進されますが、私たちはエコシステム発展のこの初期段階において、アプローチを適用することにオープンです。

委任先の申請

最初の「委任先の呼びかけ」は12月10日に行い(エイダ・ラブレスの誕生日は開始日にふさわしいと考えました)、受け付けは年内いっぱいを予定しています。2021年を通じて、四半期ごとにコホートを実行します。四半期ごとに2週間の期間を設け、プールからの委任先の申請を受け付けます。プログラムの詳細は、来週のマンスリーアップデート(12月3日)で紹介しますので、ぜひ視聴してください。

以下は概要です。両プログラムとも、プールオペレーターはアンケートに入力する必要があります。これには一部詳細と、適用されるカテゴリーに応じた質問が含まれます。冬季コホート(2021年2~4月)の委任先として登録するためには、オペレーターはプールの所在地、技術設定、目的等の背景となる情報を提供するフォームを提出する必要があります。

培養型では、四半期ごとに50~70プールに委任する予定です。

また、四半期ごとに最大10の目的型プールを選択します。12月10日に登録プロセスの一環として全基準を公開しますが、端的に言えば、経済的社会的包摂の使命を持つ、地理的に多様なプールをサポートしようと考えています。私たちは、ブロックチェーンから最大の恩恵を受ける地域に位置するプールが、同時に一部の最大の障壁を持つことを認識しています。

最初の3か月の委任

選定された各プールは最初の3か月間委任を受けます。プールは四半期ごとに入れ替わります。IOGは各プールに、最低でも1つのブロックをエポックごとに生成するために十分なADAを委任します。k=500では、プールごとに300万から500万ADAと見積もっています。選定されたすべてのプールが同量の委任を受けます。

1月上中旬にすべての申請を検討し、月末に委任を開始する予定です。コミュニティにおける完全な透明性を確保するために、両プログラムに選定されたプールのリストを公表します。これは人々が自分の委任先を選択する参考にもなるでしょう。最初の委任は3月末までとなります。

現在はまだCardanoの黎明期です。私たちはともに、数十年をかけてその価値が証明される分散型エコシステムを構築しています。したがって、数か月間で公正に判断することはできません。しかし、熱意があり、献身的で、スキルを持つコミュニティにはすでに信じられないほどの勢いがあります。この新しい戦略が、これらのプールと「パイオニア」(この言葉は、2020年に使いすぎた感がありますが、まだ有効でしょう)の一部を認識し、奨励するのに役立つことを、そして、2021年に成長を加速し、今後数年にわたる成功を準備することを願っています。

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