以下が決定しました。Shelleyは世界標準時7月29日21:44:51(日本時間7月30日06:44:51)に実施されるハードフォークとともに発動します。これは、Shelleyがメインネットで機能することを意味しています。ステークプールや委任、報酬といった機能が導入され、Cardano分散化に向けた新時代の幕開けとなります。
途轍もなくエキサイティングな時が訪れます。コミュニティには、ハードフォークに関して、それが自分たちにどう影響するのか、特にステーキング、報酬、委任、そして自分の資金の安全性などに関する疑問が数多くあることでしょう。
そこで、コミュニティから得たすべての質問をIOHKの開発チームに尋ねて得られた回答を、できる限りここで紹介したいと思います。このちょっとしたサイズの投稿でもいくつか質問は漏れており、今後のお問い合わせによって、この記事を拡張していく予定です。
したがって、何か重大な見落としがあれば、ぜひご指摘ください。ご質問は下にお願いします。できる限り回答いたします。また、今週木曜日のマンスリーショーにもぜひ参加して、最新情報をチェックしてください。事前質問も受け付けています。
準備はいいですか。では始めましょう。
背景…
Q:「ハードフォーク」とは何ですか。
A:簡単に言えば、ハードフォークとはブロックチェーンプロトコルのコアコードに重要な変更を導入することです。それ以前のトランザクション履歴をすべてハードフォーク後のコインと互換不能とします。これは注意して計画立てて実施しないと、問題が生じます。しかしCardanoの場合は、管理下でスムーズにハードフォークを実施するために設計した専用の技術を使用して、独立したチェーンを生じさせること(管理していないハードフォークでありがちなマイナス点)がないように徹底するため、互換性に関する問題を避けることができます。
Q:Shelleyハードフォークはいつ実施されますか。
A:7月29日 21:44:51 UTC(日本時間7月30日午前6:44:51)です。
Q:ハードフォークについて心配する必要がありますか。
A:いいえ、このプロセスは完全に管理されています。ただ、プロセスを通じて、所有しているADAを自分の取引アカウントでいずれかお好みの公式ウォレットに安全に保管しておいてください。チェーンの分離やトークンスワップといったことはありません。
Q:ハードフォークに関する技術的な詳細情報が読みたいです。どこにありますか。
A:まず、ハードフォークのアーキテクトによるこの記事がお勧めです。また、最近開催されたCardanoサミットからのこの動画もお勧めです。Edskoが移行を支える技術について知っておくべきことを紹介しています。さらに、テクニカルチュートリアルも併せてご覧ください。
Q:なぜ実施するのですか。
A:ShelleyはCardanoにとって非常に重要なアップグレードです。新たなアーキテクチャーとまったく新しい機能をもたらします。ブロックチェーンのコアとなるプロトコルそしてコンポーネントに重要な変化が生じる場合(後方互換性を持たない)、ハードフォークが必要となります。
Q:このハードフォークにより、新コインやトークンスワップが発生したり、ある種のエアドロップを伴うことがありますか。
A:いいえ。これはCardanoソフトウェアプラットフォームを管理しながら進化および改良させるものであり、既存コインには何らの変更も生じません。チェーンはByronからShelley、そしてその後へと、円滑に発展します。
Q:7月29日(日本時間30日)にShelleyハードフォークが実施されると、いつから実際にネットワークに影響が出るのですか。
A:直後からです。ハードフォークの結果はCardanoメインネットがShelleyを実行するということです。したがって、ステークプールはオンチェーンへの登録が可能となり、(まもなく)デリゲーター(委任する人々)に表示されるようになります。デリゲーターは登録されたステークプールへの委任を開始できます。下記の報酬セクションも併せて参照してください。ただし、エポック制というCardanoブロックチェーンの性質上、直後には閲覧不可能な情報も一部存在します(例:Daedalusにおけるステークプールの一部属性およびパフォーマンスメトリクスは、情報収集およびUIへの表示までに少なくとも1エポックを必要とします)。
何が必要ですか。
Q:ADA保有者として、ハードフォークに備えて何をすればいいですか。
A:端的に言えば、なにもありません。ただし、取引所のADAに関しては、ハードフォークによりADAの預け入れや引き出しが一時的に影響を受ける場合があります(取引所のADAは安全です。ハードフォーク前に引き出し、改めて預け直す必要はありません)。取引所に保管してあるADAは、取引所が自身のインフラストラクチャーをShelley対応にアップグレードするプロセスが完了したらすぐに使用可能となります。DaedalusにADAを保有している場合、Shelleyメインネット用Daedalus最新バージョンがリリースされ次第ダウンロードするだけです。お持ちのADA資産はウォレットに保有されたままとなります。こうしたウォレットは「Byronレガシーウォレット」とマークされます。Shelleyウォレットを新規作成して、すべての資金をここに移してください。Daedalusユーザーインターフェイスが移行機能を使用してこれを実行するよう案内します。Yoroiウォレットに関しては、EMURGOの公式ソーシャルチャネルで最新の更新情報を確認してください。
Q:ハードフォーク中のヘルプおよびサポートはどこで得られますか。
A:一般的な情報はIOHKの公式ソーシャルチャネル(まずはTwitterから)をフォローしてください。また、Cardanoコミュニティチャネル、EMURGOも併せてチェックしてください。公式チャネルのリストはcardano.orgを参照してください。
より具体的なサポートが必要な場合は、テクニカルサポートデスクに問題をログすることもできます。テクニカルサポートデスクも、問い合わせを受けた中から共通の質問に回答するFAQをアップロードする予定です。
ステークプールとハードフォーク
Q:プールオペレーターはいつメインネットでプールのセットアップを行えますか。
A:プールの登録はハードフォークの完了直後から可能となり、受理されます。多くのプールが既にテストネットで実行されているため、設定時間は数時間程度であると見込まれます。
Q:ハードフォーク後どれくらいでこうしたプールはDaedalusに表示されますか。
A:これらは登録から数時間内に表示される見込みです。Daedalus UIに表示されると、アクティブなプールを任意で選択し、ステークを委任することができるようになります。Shelleyで数エポックが実行されるまで、表示される履歴データやランク情報は限られたものになることにご注意ください。
Q:委任に関して、いつからステークをプールに委任することができるようになりますか。
A:システムにより、各エポックの始めにステーク分布状況のスナップショットが実施されます(もちろん開始時となるエポック0では委任されているステークはまだ存在しないため、最初のスナップショットは空となります)。ステークが委任されると、次のスナップショットで記録されます。このスナップショットにより、リーダースケジュールおよび報酬が決定されますが、それはこの時点で開始されるエポックではなく、その次のエポックのためのものとなります。
したがって、エポック0で委任した場合、その委任状況はエポック0と1の境界時に実施されるステークスナップショットに含まれることになります。このスナップショットはエポック2のリーダースケジュールおよび報酬を決定するために使用され、以後同様に続きます。これを図解すると以下になります。
Q:報酬はいつ受け取れますか。
A:報酬は、ステーク委任が使用された後のエポック中に計算され、その次のエポック開始時に分配されます。このページの図の例では、エポック0で委任した場合、委任されたプールはステークをエポック2でブロックを生成するために使用し、その報酬はエポック3で計算されます。その報酬を受け取るのはエポック4の開始時となります。したがって、最初の報酬を受け取るまでにしばらくかかりますが、その後はエポックごとに継続的に報酬を受け取ることができます(委任したプールが予想通りのパフォーマンスを続けることを想定)。
Q:テストネットからメインネットへのステークプールの移行はどのように行われますか。
A:最新のメインネット候補版テストネットはv 1.18.0ノードで稼働しており、これは、Shelleyにアップグレードするとメインネットでも機能します。ステークプールオペレーターにとって、移行プロセスは多少の設定およびパラメーターの変更を行い、メインネットにプールをアップするだけの比較的簡単なプロセスです。
委任と報酬
Q:Cardanoメインネットでの委任とステーキングはいつから開始できますか。
A:ADA保有者は登録を済ませたステークプールがオンチェーンで表示可能となり次第プールを選んで委任を始めることができるようになります。
Q:委任およびステーキングからどのような報酬が期待できますか。
A:報酬として実際に受け取るADAの額は、実際のステークプールパフォーマンスなど、多数のファクターにより左右されます。ネットワークパラメーターの変更も報酬に影響を及ぼします。IOHKは期待できる報酬額の概算に使用できるステーキング計算機を作成しました。(この仕組みに関する研究概要は、まずこちらを参照してください)
Q:報酬がインセンティブ付きテストネット(ITN)と異なる割合であるのはなぜですか。
A:ITNは、委任を含むShelleyの主要な機能を試す「実験」版でしたが、ある程度単純化する必要がありました。特に報酬計算の実装方法は異なっていました。Shelleyメインネットで使用される報酬メトリクスは、Cardanoエコシステムの長期的な実行可能性を確保するために厳選されたものです(ITNの経験に基づく)。
Q:エポックが120時間(5日)続くのであれば、メインネットの報酬受取りはいつから開始されますか。
A:7月29日がハードフォークの実施日です。(時間はすべて世界標準時)
- 委任が可能となるのはエポック0の期間中(7月29日~8月3日)です。ITNで得た報酬は、エポック0で委任に使用することはできませんのでご注意ください。
- 初回ステーク分布スナップショット実施は8月3日(エポック1への移行時)です。
- ブロックはエポック2(8月8日~13日)にプールにより生成されます。
- 報酬はエポック3(8月14日~18日)に計算されます。
- 報酬が分配されるのはエポック3の最後(8月18日)です。
この時点で、Shelleyで4エポック(20日)が経過しています。ここでは、Shelleyへの移行が7月29日に実施され、それに先立ち更新提案が申請、受領、承認されることを想定しています。
Q:ロールアウトプランでは、8月18日が「ステーキング報酬初日」とされていますが、これはADA保有者が初めて報酬にアクセスできる日ですか、それとも累積が開始される日ですか。
A:上図タイムテーブルをご覧ください。可能になり次第委任を始めたと仮定して、最初の報酬が支払われるのが8月18日です。
Q:ステーキングを「早く」始めると、報酬率が上がりますか。
A:1エポック内で委任/再委任をいつ始めても違いはありません。次のスナップショットにステークが含まれるようにするためにエポックが終了するまでに委任する必要があるだけです。ただし、確実にADAを委任してください。これにより、ネットワークを健全に保つことができます。委任を早く始めれば始めるほど、より多くの報酬が得られます。ここにリスクはありません。保有するステークが委任により減少することはありません。うまく委任することにより増加するだけです。
Q:請求者のいないメインネットの報酬はどうなりますか。デリゲーター間で共有されるのですか。
A:ごく最近まで、請求者のいない報酬はトレジャリーに移されていました。しかし、請求者のいない報酬がかなり生じると見込まれる(少なくとも初期段階で)ことがモデルで示されたことにより、リザーブに戻した方が透明性が上がると判断しました。したがって、はい、こうした報酬はデリゲーター間で共有されますが、それは自動的にリザーブに戻すことにより間接的かつ長期的なものになります。これで、報酬を徐々に、そして委任されたステークの比率に応じてリリースすることにより、Cardanoの長期的実行可能性が確保されます。
Q:報酬に関して、ITNで委任やステーキングを行っていた場合、報酬を受け取るプロセスを教えてください。また、それはいつになりますか。
A:メインネット用Daedalusウォレット最新リリースには専用の「ITN報酬還元」機能が搭載され、ITN報酬をDaedalusの任意のShelleyウォレットに還元することができるようになります。報酬は8月3日にCardanoメインネットに移行されます。これはハードフォークから1エポック後であり、この時点で請求することができるようになります。
ITN報酬をDaedalusから請求するには、以下が必要となります。
- 報酬を含むITNウォレットの復元フレーズ
- Shelleyメインネットウォレット:ITN報酬の還元に必要なトランザクション手数料を支払うために十分な資金が入っていること
Q:Daedalusの最新バージョンはどこでダウンロードできますか。
A:通常通り、メインネット用Daedalus最新版はDaedalus公式サイトからダウンロードできます。ハードフォーク後まもなく最新ウォレットのリンクが更新されます。
ウォレット
Q:いつからメインネットのステーキング用にShelley対応の新ウォレットを作成することができますか。
A:Shelleyアップグレード(「ハードフォーク」)完了直後から、Shelley対応の新ウォレットを作成することができるようになります。Daedalusでは、Shelley対応ウォレットに24語のウォレット復元フレーズを使用します。
Q:スナップショット前にITNに作成されたウォレットアドレスおよびHTNウォレットアドレスは、メインネットで復元および使用することができますか。(テストADAは含まず)
A:ITNおよびHTNのアドレスはメインネットで使用することはできません。CardanoはADAを誤ったネットワークのアドレスに送信し、結果資金にアクセスできなくなることを防ぐためにアドレス識別機能を使用しています。
Q:メインネットでステーキングが開始された際に、Ledger Yoroiでステーキングをすることができますか。
A:いいえ。LedgerハードウェアウォレットはShelleyアップグレード直後にはサポートされません。Daedalusは、Shelleyでハードウェアウォレットがサポートされるまで待てないユーザーのオプションとして、ハードウェアウォレット復元機能をサポートする予定です。
Q:ADAがYoroiに保有されている場合、ハードフォーク時にすべきことはありますか。
A:YoroiウォレットにADAを保管しておくことを選んでも、ADAは完全に安全です。委任は、Yoroiモバイルにリリースされる前にYoroiブラウザー拡張機能にリリースされますが、Yoroiモバイルウォレットはブラウザー拡張機能と完全に互換性があります。Yoroi拡張機能は数日間利用不可能となる場合があります(Google Chrome拡張機能の審査期間のため)。委任機能はまもなく追加されます。TwitterでEMURGO をフォローし、ShelleyおよびYoroi更新の最新情報を確認してください。
Q:ステークはどのウォレットから委任できますか。
A:新しいShelleyメインネットウォレットのみが委任機能をサポートしています。Byronレガシーウォレットの資金は、委任をサポートしている新しいShelley対応ウォレットに移す必要があります。ITN報酬は、最初のShelleyエポックの間に自動的に新しいShelleyウォレットに移され、その後既存のウォレットとまとめることもできます。メインネット候補版ウォレットを含むShelleyテストネットウォレットは使用することができません。Yoroiは委任をサポートしますが、Shelleyのメインネットデプロイ直後には使用できません。ハードフォーク直後にADAを委任したい場合は、YoroiウォレットをDaedalusで復元することができます。
Q:ステーキングや委任を実行している間、ADAを使用することができますか。
A:はい、すべてのADAはいつでもステークアドレスから引き出し、登録を解除することができます。ただし、登録を解除したADAから委任による報酬は得られなくなることに注意してください。
Q:委任中ADAは「ロック」された状態になりますか。または「ロック解除」や「委任解除」となるまで待つ必要があるのですか。
A:いいえ、委任に使用されているADAがロックされた状態になることはありません。
Q:ウォレットを委任できるようにするためには「オンライン」または「実行中」の状態にしておく必要がありますか。
A:いいえ。委任設定を登録したら、ウォレットを閉じても大丈夫です。委任情報は次エポックの開始時にブロックチェーンに記録され、その次のエポックから有効となります。ウォレットは残高を確認する場合、報酬を表示する場合、新しく委任する場合などにのみオンラインにする必要があります。ウォレットその他に関するその他の便利な情報は、Cardano公式サイトをご覧ください。
現在はここまでです。ここで見落とされた質問は、お気軽に下のスレッドに書き込んでください。これからたくさんのコンテンツがIOHK、EMURGO、Cardano財団から提供されます。すべての大事なニュースをお見逃しなく。
では、ハードフォーク後にお会いしましょう!