Shelleyがリリースされました
Cardanoは2017年に公開されましたが、その開始時点は、Cardanoプロトコルのバリューレイヤーであり、暗号通貨adaの基礎でもあるByronのリリース時でした。
他方、待望のShelleyへの移行は、長年の舞台裏での作業や80近くの査読付き研究論文、複数のテストネットの反復などを伴い段階的にロールアウトしています。
Shelleyのメインネットバージョンは、Cardano ブロックチェーンのハードフォークの後、本日公開されます。この移行は、スマートコントラクト機能の次のマイルストーンに先立ち、分散化とステーキングによって定義されるCardanoの現況への大きなシフトを表しています。
この記事は、テキストとビジュアルの両方からなるコンテンツシリーズの第1回目で、このシリーズではShelleyのロールアウトの様々な側面を探っていきます。ここで私たちは、Shelleyについて高いレベルで概要を示し、また、ShelleyのCardanoネットワークへの影響を説明し、さらに、これがCardanoエコシステム内の利害関係者にとって何を意味するのかを話し合います。
Shelleyは何を表していますか?
Cardano プロトコルは、価値の元帳であることをはるかに超える運命にあり、Shelleyの配信は、Cardanoをソーシャルでありかつ金融上の将来のオペレーティングシステムとするにあたって次のステップとなります。
Shelleyの配信によってもたらされる最も重要な変化は、Cardanoブロックチェーンの分散化です。Shelleyの配信に続いて、Cardanoは他の主要なブロックチェーンネットワークと比べ50~100倍分散化します。コンセンサスとガバナンスにおいて最大1,000のステーキングプールが積極的な役割を果たし、最終的に投票権がコミュニティの手に渡るよう推し進めます。
Shelleyはまた、メインネットにステーキングの報酬とステークプールが到来したことも告げています。adaの保有者は、初めてプールに自分たちのステークを委任することができるようになり、それによってCardano ブロックチェーンのコンセンサスへの参加に対して受動的な報酬を受けられるようになります。これが「delegated proof of stake(権限を委任されたプルーフ・オブ・ステーク)」(DPoS)という用語となります。
Cardanoは、ByronからShelleyへの移行はどうなりますか?
ByronからShelleyへの移行は、IOHKのハードフォーク コンビネーターを介して実行されます。このコンビネーターによって、Cardanoの基礎となる2つのプロトコルの順次的なコンビネーションが可能になります。
表面的に、そしてより広いコミュニティにとって、これは円滑に、干渉なしで進められるプロセスです。ただし、実際には、Shelleyに移行するにはCardanoのウロボロス合意プロトコルの古いバージョンから新しいバージョンへの移行、すなわちOuroboros BFTからOuroboros Praosへの移行が必要です。
この非常に技術的なプロセスは、IOHKの主任テクニカルアーキテクトのDuncan Couttsが「フリークライミングとしてのHaskellプログラミング」として 説明していますが、これはこれまでにブロックチェーンで行われる最も重要なイベントの1つです。
プロセス全体を通じて、ハードフォークコンビネーターと他の個別のモジュールが舞台裏で機能し、ByronからShelleyへの整然とした移行を確実にしています。
したがって、この移行は確かにハードフォークですが、Cardanoコミュニティの多くの利害関係者は、Cardanoで発生する変更の大きさに気づかないでしょう。ただし、利害関係者の役割に応じて、実行可能な変更がいくつか行われる予定で、これらについては以下で掘り下げます。
Shelleyは、adaの開発者にとってどのような意味がありますか?
開発者コミュニティにとってShelleyは、Cardanoの開発に参加するための刺激的で新しい機会の提供となります。主な焦点は、ノードのインストールと実行、ステークキーの登録、その他のステークプール操作といった、ステーキングまわりのものとなります。
ただし、Shelleyは完全に分散化され、スケーラブルなCardano ネットワークのステージも設定し、これによって、分散型アプリケーション(DApps)を構築、展開する新しい機会が開かれ、開発者たちはノードを即座にインストールすることでDAppsの到来に備えることができます。
開発者は、Cardanoノードモニタリングツールを展開することもできます。Prometheusオープンソースのメトリック分析と視覚化スイート、Grafanaなどです。これらのダッシュボードを使用すると、ステークプールやネットワークパフォーマンスに関する数値を簡単に調べることができます。
Shelleyは、ステークプールのオペレーターにとってどのような意味がありますか?
インセンティブ付きテストネットに参加したステークプールのオペレーターは、以降Shelleyメインネットでプールを操作する必要があります。これによりプールオペレーターは、ハードフォークに続いてプールを再登録する必要があります。Cardano財団とCardanoアンバサダーのコミュニティは、この移行を支援するために待機しています。
これまでお待ちいただいたその他の関係ステークプール事業者にとっては、Shelleyハードフォークによってご自分のプールを実行し、adaの保有者にステークをあなたに委任してもらうことができるようになります。ステーキングと委任に関する最新ニュースは、Cardanoフォーラムをご覧ください。委任とインセンティブの設計仕様についてはこちらで詳しくお読みください。
Shelleyは、adaの保有者にとってどのような意味がありますか?
Shelleyは、adaの保有者を含む、私たちのエコシステムの多くの参加者にとって、大まかに言って手放しのプロセスになります。
Daedalusウォレットを使用する場合、リリース時にソフトウェアバージョンを更新する必要があります。同様に、Daedalusウォレットの現行版は、 Shelleyテストネット バージョン1.1.0-STN1と互換性があり、冗長化を行うこととなり、ユーザーはShelley メインネットをダウンロードしウォレットを有効にしなければならなくなります(ライブの状態を示すために容易判別できるよう緑色でコードされています)。
ステークの委任に関心があれば(すべてのada保有者にそうするようお奨めしますが)、Cardano.orgのステーキング報酬計算機をお調べください。ここで、年間の委任報酬を見積もることができます。
Shelleyのドキュメント類を探す
開発者、ステークプールオペレーター、Shelleyのバックエンド実装に一般的な関心をお持ちの皆さんは、以下のShelley関連ドキュメントをご覧になることをお奨めします。
- Cardanoのドキュメント:https://docs.cardano.org/
- Cardano財団GitHub:https://github.com/cardano-foundation
- IOHK GitHub:https://github.com/input-output-hk
- ノードのインストールと実行:https://docs.cardano.org/projects/cardano-node/en/latest/getting-started/install.html
- Shelley ブロックチェーンをゼロから作る:https://docs.cardano.org/projects/cardano-node/en/latest/reference/shelley-genesis.html?highlight=Shelley
- ステークプール操作:https://cardano.org/Stake-pool-operation/