要約:IOHKサミット2019年-チャールズ・ホスキンソンによる基調講演

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2019IOHKサミットは先週、晴天のマイアミで開催され、IOHKの従業員とコミュニティのメンバーが20カ国以上から参加しました。このイベントは、IOHKのCEOチャールズ・ホスキンソンのオープニング基調講演によって開始しました。過去のサミットは、普段は世界中で離れて働いているIOHKの従業員を結び付けるプライベートイベントでした。毎年恒例のこのイベントに、IOHKをもっと良い会社に、そして、さらに良いエコシステムにしようと人々が集まります。

基調講演の冒頭で、チャールズはサミットのメインステージに展示されていた美しいバナーを紹介しました。あらゆる方面で分散化が進むなか、これらのバナーのアーティストもTwitterを通じて発見されたと彼は冗談めかして付け加えました。そして、ジェロラモ・カルダノ、エイダ・ラブレス、バイロン卿、パーシー・ビッシュ・シェリー、ジョセフ・ゴーグエン、松尾芭蕉やヴォルテール(本名フランソワ・マリー・アルエ)など、Cardanoプロジェクトで名称の由来となっている著名人ごとにバナーを作成することがアーティストに依頼されました。

続いて、チャールズは、Cardanoプロジェクトの歴史について話しました。イーサリアム共同創設者だったチャールズは、2015年に「日本のイーサリアム」を創設したいと考えていたコンソーシアムから引き合いを受けましたが、彼はもっとおもしろく、より革新的な事業を模索していました。そして、スケーラビリティ( 拡張性)、インターオペラビリティ(相互運用性)、サステナビリティ(持続可能性)を3つの柱とするCardanoが生み出されました。スケーラビリティ(拡張性):システムは、より高速になり、より多くのユーザーを獲得しても同じパフォーマンスを維持する必要がある。インターオペラビリティ(相互運用性):暗号通貨や金融システムが1つだけになるわけではない。何をするにしても数千通りの方法があり、コミュニケーションが必要。サステナビリティ(持続可能性):基本的に誰が支払い、誰が決めるのかということ。

3つの柱が決まると、2015年には資金が集まりました。Cardanoを推進するIOHK のチームは、次のような重要な質問について慎重に検討し始めました:どのようなテクノロジーであるのか? どのような種類のコードを書く必要があるのか? Bitcoinを分岐させ、そこから始めるのか? 最後の質問に対する答えは「いいえ」です。基礎から考えること、そして一歩戻って慎重に考えることが重要でした:私たちは実際に何をしようとしているのか? コンセンサスアルゴリズムとは何か? どのタイプの元帳をデザインできるのか? トランザクションはどの程度プライベートにする必要があるのか? メタデータはどのように見える必要があるのか?これらを慎重に考慮した結果、何年かかるにせよ、基礎研究が必要であることが明らかになりました。そしてIOHKでプロセスが開始されました。従業員の雇用が始まり、著名な大学の研究機関と提携し、プログラミング言語や会計システム、プルーフ・オブ・ステークアルゴリズムに関する論文が執筆されました。

2016年のIOHKチーム(リガ)

今年のサミットのIOHKチーム(マイアミ)

しかし、市場とコミュニティによる評価を得ない限り、実際の価値はありません。したがって、Cardanoプロジェクトはバイロン時代に、コミュニティの構築に取り組みました。そして、ブロックチェーンプロトコルのピアレビュー付き研究の重要性を人々に理解してもらい、私たちがどこに行きたいのか、そしてCardanoで何をしたいのかについて人々に注目してもらうために、第3世代の暗号通貨とは何かについてのメッセージの配信を開始しました。

今年のQ1時点で、このバイロン時代は終わりました!バイロン開発段階の最終版であるCardano1.5が最近リリースされました。この重要なマイルストーンによって、プロジェクトは既存ソフトウェアを超えた多くのことを達成しました。Cardanoは25以上の取引所にリストされ、トップ10に入っています。そして、かつての小さなコミュニティは、世界中で約50万人にまで成長しました。さらに重要なことに、コミュニティは多様なバックグラウンドで構成されており、以前よりも優れた成果を上げるためには、そしてより良い成果を上げるためには時間をかけても構わないという概念によって統合されています。

なぜそれが重要なのでしょうか。IOHKが、何らかの価値があり、何十億人もの人々が関与する次世代システムを実際に構築しようとしているなら、そのシステムには仕事があるはずです。

「それは、あなたのお金です。 あなたの資産です。 あなたのアイデンティティです。 あなたのプライバシーです。 これはあなたの人生であり、もしあなたが最も気にかけていることをこのシステムが支配しているのであれば、システムの機能不全は本当に大変なことなのです。 もしシステム障害であなたの貯蓄が犠牲になるようなことになれば嘆かわしい事態です。」

暗号通貨の分野が成長を続けるなかで、この点は忘れてはならないことであり、Cardanoコミュニティがは「シェリーのリリースはいつ?」と言うときに心に留めておくべきことです。ローマは一日にしてならず。シェリー時代は、ステーク、ステークプール、委任、および非中央集権化をもたらします。これらの機能がきちんと動作することは非常に重要であり、そのためにIOHKの全社員が懸命に働いています。そしてシステム設計に際して、IOHKはできるだけ流動的でオープンなシステムを作ろうと考えました。だからこそ誰でもステークプールを登録できるのです。どうやって?ブロックチェーン上で。どのようなインターフェースで?ダイダロスを使って。目標はシンプルさを保つこと。これはユーザーエクスペリエンスのためだけでなく、参入障壁を低く抑えるためにも必要でした。

チャールズが基調講演で説明した他の時代には、スマート契約に関するゴーグエンがあります。ゴーグエンはシェリーとほぼ同時期に合流する予定です。ゴーグエンはBitcoinより多くの機能を加えた非中央集権化の概念の上に成り立ちます。Basho(バショ―)もあります。これは江戸時代の俳諧師松尾芭蕉にちなんで名付けられたもので、あらゆるスケーラビリティ(拡張性)に関するものですCardanoにステークプールが設置されて、プロセスが順調に進んだら、ある時点でシステムを断片化することができます。つまり、プールが多いほどパフォーマンスも高くなるのです。そしてある時点で、レイヤ2プロトコルをシステムに追加することができます。パラレルチェーン、サイドチェーン、ライトニングネットワークなど、すべての優れた技術革新が進行中です。最後に、財務システムと投票システムをCardanoに導入するVoltaire(ヴォルテール)があります。

Cardanoロードマップを共有した後、チャールズは人々を取り込むことについて話を進めました。機能的で効率的なシステムを作ることはできても、人々をそこに入れなければ価値はありません。Cardanoにとって、このプロジェクトの精神は常に汎アフリカ的なものでした。IOHKは積極的にアフリカに進出してきました。従業員を送りこみ、リーダーと会合し、事務所を設立し、MoU(覚書)に署名しています。その一つが、エチオピアの技術革新省と共同で行った23人の女性開発者にHaskellのコースを教えるためのMoUです。さらに嬉しいことに、エチオピア政府との間で、アディスアベバでCardanoを使用するプロジェクトを構築するための追加的なMoU契約が結ばれました(詳細は別の投稿で)。

このようなプロジェクトはAtalaと呼ばれるフレームワークに含まれます。AtalaはIOHKサミットでも発表され、詳細は今後発表される予定です。Atalaは企業の元帳フレームワークであり、特に国内の問題を解決するためにゼロから構築されています。学術的な不正行為や証明書の検証、製品の追跡といった問題に取り組みます。自治体の通貨や身分証明、財産登録などの機能を持つようになるでしょう。Cardanoが目指すのは、人々がエイダの価格を気にすることではなく、人々の生活の質を根本的に変えることであるとチャールズは強調しました。この問題を解決することは、人々をシステムに取り込むための架け橋となるのです!これは私たちの経済、つまり暗号経済に30億人を取り込むチャンスです。

「そのようにして私たちは何百万ものユーザーを手に入れることができます。 私達は企業取引を行うつもりです。 そして、それを実行するたびに、人々を私たちのエコシステムに取り込みます。」

チャールズは基調講演の締めくくりとして、私たちはすべてのものの仕組みを変える運動の一部であり、すべての人が責任者であるということを参加者に訴えました。この使命を果たすためには、世界が私たちに協力する必要があります。そのため、私たちは、製品を使用し、それについて人々に伝え、暗号化とそのすべてについて人々に伝えるという自分の役割を果たすことができます。Cardanoは常にオープンソースで特許フリーのままであり、IPを保有していません。私たちは何もコントロールしません。IOHKの使命は何かをコントロールすることにはありません。IOHKの使命は常にそれをすべての人に提供することです。


チャールズ・ホスキンソンの基調講演をご覧ください。