IOHKブログ:インセンティブ付きテストネット:その内容と参加方法とは

まもなく、Shelley公開をサポートしてADAで実際に報酬を受け取ることが可能に。ここで詳しく解説します

2019年10月24日

著者:Dynal Patel

この数か月間、私たちはShelleyテストネットのフルリリースに向けて奮闘してきました。セルフノード段階やネットワーク化段階に関する進捗レポートをご覧になった方もいるでしょう。現在、Shelleyメインネットのライブ配信に向け、プロジェクトは最後の第3段階、すなわちすべてのADA保有者が実際にADAの報酬を稼ぐことができるインセンティブ付きテストネットの段階に差し掛かっています。

これにより、Shelleyテストネット、そしてCardanoの開発が加速されます。インセンティブ付きテストネットで得た報酬はメインネットに引き継がれます。ステークを委任して、あるいはステークプールを運営して得たADAは現実のものであり、メインネット公開時にはこれに受け継がれます。

インセンティブ付きテストネットをもってShelley公開は開始され、来年初期に予定されているメインネットへのコードベースリリースをもってその頂点に達します。安全な分散型プルーフオブステーク(PoS)ネットワークの実現。前例のないエキサイティングな時代が到来します。

インセンティブ付きテストネットを行う理由

CardanoはOuroboros(ウロボロス)プロトコル上で実行されています。これは最も先進的かつ安全な、開発中のPoSプロトコルです。この革新技術は、しかしながら複雑性も帯びています。したがって私たちは、安定した堅牢な基礎を確保するために、実践的かつ信頼性の高い方法で実装することを選びました。これは新たな機能である最新のインセンティブメカニズムを、Shelleyテストネットに段階的に導入する理由でもあります。Shelleyは今後導入されるすべての基盤となります。一旦実際に作動する分散化ネットワークが確立されれば、スマートコントラクト機能を導入するGoguen(ゴーグエン)をはじめとするさまざまな可能性が広がります。

インセンティブ付きテストネットにより、実世界に即した環境でCardanoのインセンティブメカニズムを目にすることが可能となります。これらのメカニズムはOuroborosプロトコルの運営上欠かすことができません。インセンティブの付与はネットワークへの参加を保証し、成長を促し、核となるアクターがその役割を果たすことを確実にするための手段です。

インセンティブの付与は私たちが価値を置く2つの事柄、時間とお金にかかっています。これを正しく行うこと、そしてCardanoユーザーが投資に対して適切な報酬を受け取ることは非常に重要です。これが、インセンティブ付与をテストで行うために、実際の報酬が必要となる理由です。このメカニズムは、ゲーム理論および行動経済学を中心にデザインされており、ここでテストされるのは究極の人間行動です。

さらに、インセンティブ付きテストネットにより、Shelleyメインネットの基礎を築き、核となる機能を制御しながら試し、コミュニティからの貴重なフィードバックを集めることができます。また、メインネットへ向けた準備として、資格を持つ安定した分散化ステークプールオペレーターのグループを構築することもできるのです。

参加方法

これは、これまでのIOHKのテストネットとも、他のほとんどのテストネットとも異なります。インセンティブ付きテストネットはメインネット全体で保有されている全ADA残高のUTXOのスナップショットを撮ることから始まります。このスナップショットはその時点における各ユーザーのADA残高をキャプチャーします。この残高の値 - ADAそのものでなく - がインセンティブ付きテストネットに移植されます。

残高のスナップショットを取る時点でADAを保有している人ならだれでもインセンティブ付きテストネットに参加できます。ただしこの際、ADAは認定された場所に保管されている必要があります。技術的な理由により、取引所やハードウェアウォレットに保管しているADAはスナップショットに含まれません。残高のスナップショットをサポートするウォレットの詳細は以下のチャートに記載されています。

取引所やハードウェアウォレットに保管しているADAは、スナップショットを取る前にあらかじめDaedalusやYoroiといったサポートされているソフトウェアウォレットに移しておく必要があります。ただ心配することはありません。スナップショットは静止画像として機能します。その時点で保有されているADAはスナップショットを撮った直後から自由に取引きや移し替えをすることができます。

スナップショットは11月に実行します。その前にテストを行い、すべてが意図したとおりに作用し、関連するソフトウェアをダウンロード、設定することができるかを参加者がチェックできる機会を提供します。詳細は、スナップショットの実行が近づいたら改めてお知らせしますので、資金をあらかじめ移すことができます。どなたにもこの機会を逸して欲しくはありません。

ステークの委任

ステークを委任するために技術的な知識は必要ありません。参加するには、テストネット専用DaedalusおよびYoroiウォレットをダウンロードする必要があります。ここでは混乱を避けるために、メインネット用とは異なるデザインが使用されています。

スナップショット後、メインネット用ウォレットと同様に、ニーモニックフレーズを入力することによりテストネットウォレットにアクセスし、インセンティブ付きテストネットのADA残高を表示することができるようになります。テストネットウォレットには単一または複数のステークプールにステークを委任する機能が搭載されています。ウォレット内でどのように委任を行うか選ぶことができます。

インセンティブ付きテストネットのADAはメインネット上と同様に、委任やステークプールの運営に使用することができます。テストネット外で使用したり、テストネット外に移動することはできません。ただしこの段階が終了した時点で、テストネットで蓄積された報酬は、実際の使用可能な報酬としてメインネットに移されます。ゆえに、テストネットで獲得したADAは実際のインセンティブとなります。これは、コントロールされた環境内における、実際の行動を促す実際の通貨です。

ステークプールの運営

ステークプールを運営するには、多少の技術的ノウハウが必要です。最低でも、ステークプールオペレーターはコマンドラインインターフェイスに精通し、システム運営およびサーバー管理のスキルを必要とします。理想としてはステークプールの実行経験者ですが、段階的な説明を施したIOHKの手引き書で誰でもステークプールの運営方法を学ぶことは可能です。プロセス全般にわたり、今後こうした手引き書やガイドを充実させていく予定です。

見込まれる報酬とは

委任やステークプールの運営により得られる報酬については、まもなくリリース予定の計算機で概算が可能です。計算機は現在構築中の専用ウェブページに置かれます。今後のニュースもお見逃しなく!

インセンティブ付きテストネットの開始日と終了日

11月に予定されている残高スナップショット、およびインセンティブ付きテストネット開始の正確な日付けは、パブリックチャネルおよびソーシャルメディアを通じて事前に通知されます。テストネットは、メインネットへShelleyコードベースをデプロイする準備ができるまで続きます。

インセンティブ付きテストネットプログラムの終了時に、テストネットで得た報酬をメインネットウォレットにインポートするための手続きをお知らせします。インセンティブ付きテストネットの開始、完了および終了に関しては、余裕をもって事前通知します。

Cardanoにとっての意義

インセンティブ付きテストネットの開始はShelley期の開始を意味します。CardanoはGitHub上の他のどのブロックチェーンプロジェクトよりも多くコミットしており、分散化ネットワークに向けたビジョンの実現に近づいています。エンタープライズへの適用をサポートし、世界中の人々をエンパワリングするための機能と性能を備えています。皆さんの助けにより、エンタープライズや日々のユーザーが参加し、想像し、交流するために十分なインセンティブを持ったCardanoネットワークの可能性が、見え始めているのです。

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