プルーフ・オブ・ステーキ ~ ビーフチェーンがカルダノを使って牧場主に力を与える方法~

プルーフ・オブ・ステーキ — ビーフチェーンがカルダノを使って牧場主に力を与える方法

(Written by @ElliotHill of the Cardano Foundation)

皆さんは、短期間に気候変動を防いで環境を保護するための最も簡単な方法は肉の消費量を減らす事であると読んだことがあるかもしれません。しかし、あまり知られていませんが、私たちが食べる肉が持続可能かつ責任ある供給源からのものであるかどうかを保証することも同様に重要な方法です。

以前は、私たちが食べた農産物のほとんどが地元で生産、処理、販売されていたため、これはかなり単純な作業でした。しかし、世界的なサプライチェーンが世界を縮小した21世紀では、私たちの食べ物がどこから来たのかを特定することはこれまで以上に困難です。

現在、ブロックチェーン技術は、私たちの食糧供給において効果的なトレーサビリティソリューションを確立するための鍵を握っており、おそらく食肉製品にとってはさらに重要といえるでしょう。

ここでは、現在の牛肉業界の問題点を探り、牧場から食卓まで肉を追跡することが一次生産者にどのように力を与えるかを議論し、カルダノブロックチェーンとBeefChainが力を合わせ、どのように牛肉サプライチェーンの透明性を高めていくかを探っていきます。

畜産における現在の課題

なぜ私たちの食品がどこから来たかを知ることが重要で、なぜブロックチェーンを使った牛肉の追跡がとりわけ有益なのでしょうか?

まず、畜産の方法には大きなばらつきがあります。飼料の耕作には有機農法と伝統農法、遺伝子組み換えか否か、などの多種多様な方法がありますが、畜産技術においては、特に周囲への影響を考える場合、方法の識別はさらに複雑です。

このように 持続可能性が大いに注目, されるにつれ、他の方法で行う集約農業に対して、牧草で育った牛肉や、開放された牧草地を使った畜産の需要が近年大幅に増えています。

細心の注意を払い、人道的かつ持続可能な開放牧草地で家畜を育てる中小規模の牧場主は環境への影響を大幅に軽減することが可能です。その結果、牧場主は、理論的には、牛肉のより良い価格を設定できるようになります。

問題は、多くのことに注意を払いながら農業を行うには時間とコミットメントが必要で、さらにその証明は困難です。例えば、あなたが消費者だとして、集約農業で育った牛肉と牧草地で育った牛肉をどのように見分けるのでしょうか?

この問題は、正直な牧場主にとっては巨大な経済的効果があります。最近まとめられた20年間にわたる米国の牛肉サプライチェーンの研究 では、牛肉に関する詐欺は400件以上あり、そのうち42.9%が偽造で、低品位の肉を高額な品種として渡したり、農場レベルの資格情報をオーガニックや牧草地飼育などと偽造したりしていました。

肉の起源の立証責任は主に、トレーサビリティソリューションやテクノロジーにあまりアクセスすることのない一次生産者(農家や牧場主)にあるため、この種の詐欺は追跡が難しいとされています。

その結果、最終消費者の購買決定は、パッケージに記載された内容を拠り所とする信頼に基づいて行われることになります。それには「牧場主から小売り」アプローチが必要であり、これは牧場主又は農家の個々の動物レベルから始まる、サプライチェーン全体で端から端まで追跡可能なトレーサビリティを意味します。では、ブロックチェーンはこれを達成するのにどのように役立つのでしょうか?

ビーフチェーンが支援

ビーフチェーンは、個々の動物の識別を可能にし、牛や羊の起源を保証するワイオミング州ベースのブロックチェーントレーサビリティソリューションです。ビーフチェーンの技術は、ワイオミング州の6つの家族経営の牧場と提携して、約1,600頭の子牛を追跡しています。

ビーフチェーンではRFIDチップとモノのインターネット(IoT)デバイスを使用して、個々の牛に関する個別情報を追跡してブロックチェーンにアップロードでき、ブロックチェーン技術を介して牛肉製品の起源について検証可能な情報を提供します。

これらの認証情報は、サプライチェーン全体で簡単に追跡および検証できるため、消費者は店内で製品を簡単にスキャンし、その起源を農場レベルまで明らかにすることができ、倫理基準が遵守され、不正な製品を購入するリスクが排除されます。

その結果、消費者が購入時にビーフチェーンの情報に基づいた意思決定ができ、さらにはビーフチェーンの技術で追跡をしてから牛肉を購入することもできます。そのうえ、持続可能な農家の市場シェアを高め、より公正な価格を設定できます。

ビーフチェーンは、IOHKとワイオミング州の間に密接な関係があることからカルダノエコシステム内で動くことを選択しましたが、同様に、カルダノブロックチェーン上に構築された Atala TRACE サプライチェーントレーサビリティソリューションの促進も目的としています。 Atala TRACE は、生産者によるサプライチェーンの可視性向上を後押しし、最終消費者への 透明性 をもたらします。そしてこれは品質に取り組んでいる一次生産者の報酬に繋がります。

独自のQRコードやRFIDチップを使用するような他のトレーサビリティソリューションと比較して、ブロックチェーンソリューションに接続すると、基礎となるサプライチェーン情報が改ざん不可能で安全な方法で保存されるため、悪いアクターが製品の証明書を偽造することは非常に困難です。

IOHKの最高商務責任者ジェリー・フラギスカトスと生涯牧場主でビーフチェーン代表のタイラー・リンドホルムによるカルダノエコシステムとビーフチェーンの事業の詳細は、シェリーバーチャルサミット2020版の セッション を参照下さい。

リスクは大きい!

食べ物がより遠くから届くようになると、消費者と一次生産者との交流も希薄になっていきます。効果的に詐欺と戦い、本当に改ざん不可能なトレーサビリティを約束するソリューションを見つけることはこれまで以上に重要となってきます。

牧場から食卓までのソリューションに興味がある場合や、ブロックチェーンベースのトレーサビリティソリューションに適した業界があると思われる場合は、次のサイトで発言して下さい。 または、私たちの開発者ポータル待機リスト 12, に登録し、Cardano でソリューションの構築に着手するための必要なツールとコンテンツを見つけてください。