税理士登録できました!!ということでこれで堂々と税金の発言ができます…そしてせっかくなれたのですが、税理士事務所的な業務をやる時間がないことにも気がつきました…というわけですがなるべくコミュニティに貢献できるように頑張ります:sweat_smile:
早速、委任により得られたADAのステーキング報酬の日本に通常住んでいる個人のケースの所得税の扱いについて、SPO兼税理士の個人見解(この見解を信じたことによる損害は1円たりとも責任とれませんので、最終的には100%自己責任にてお願いいたします。)をお話しします!
■ステーキングは課税所得なのか?⇨YESです。すべての所得が原則該当し、非課税所得に列挙されているところに「ステーキング報酬は非課税」と書かれてないためです。
■ステーキングは何の所得と分類されるのか?⇨原則雑所得、明らかにそれで生計を立てているなど事業として行われていることが客観的に明らかな場合など場合によっては事業所得。
■ステーキングの収入金額はいつ計上されるのか?⇨「ステーキングの収入権利が確定した、収入すべき金額の時点、つまりADA入金5日前にステーキング報酬が確定しているため、その時にステーキング報酬を未収入金で収益計上。入金時に入金時のレートで決済差損益のような形で収益計上。したがって、これは要するには結局、基本的には入金時のレートで収益計上となると思われるが、エポックが年末またぐケースでは厳密には一定の調整が必要となる可能性がある。以下参照。」
理由:
︎明確にステーキングに関して定められた明確な規定はない(マイニングの規定はあるが、ステーキングはマイニングのPOS版だが、SPOの業務はマイニングに近い性質を持つものの委任者の報酬がそれに該当するかは判断が難しいと思われる(ノードを自分で立てているわけではない)ステーキングはマイニングとは全く違うといっている税務署はこの実態を見ている可能性はある。ただし、マイニングと解釈したとしても、上記と同じ計上方法になると思われる。)
︎明確に定められた規定がないということは、所得税法の原則を定める36条1項2項の権利確定主義の収益認識原則に基づいて考える、あるいはそれに近い性質で定められたものを参考に考える
こととなる。
︎所得税法の原則を定める36条1項2項の権利確定主義の収益認識原則では「その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。」とある。これに関して 平成26年9月1日裁決によれば「 所得税法第36条第1項は、各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、その年において「収入すべき金額」とする旨規定し、「収入した金額」とは規定していないことからすると、同法は、現実の収入がなくても、その収入の原因となる権利が確定した場合には、その時点で所得の実現があったものとして、その権利確定の時期の属する年分の課税所得を計算するという建前(いわゆる権利確定主義)を採用したものと解される。そして、上記の収入の原因となる権利が確定する時期については、それぞれの権利の特質を考慮して決定されるべきものであるところ、貸付金利息については、元本使用の対価であって、元本が返還されるまで日々発生するものであるから、特段の事情のない限り、現実の支払の有無を問わず、期間の経過により直ちに利息債権が発生し、収入の原因となる権利が確定するものと解するのが相当である。 」ともある。
︎Cardanoのステーキングのメカニズムからみると、ステーキング報酬の収入の原因となる権利が確定した段階で収益に計上される時期は、ブロック生成エポックの終了時点(入金5日前)と思われる。ただし、実際に入ってきたタイミングでレートの差分を損益とするため、結局計上されるのは基本的に実際に入ってきたときのレートとなる。マイニングの国税庁FQAや外貨の規定の扱いなどをみても、矛盾がないように思える。
︎個々のブロック生成時点報酬発生説:Cardanoの報酬計算メカニズムにおいては、そのエポック内のトランザクションフィーをすべて集計してブロック生成数に応じて配布するため、ブロックが生成されたその瞬間には報酬額が確定していない。そのため、ここのブロック生成時点で計上するのは妥当ではない。
︎ステーキングの収入が実際に入ってきたタイミング説:権利確定主義より、当タイミングではないと考えられる。ただし、実際に入ってきたタイミングでレートの差分を損益とするため、結局計上されるのは基本的に実際に入ってきたときのレートとなる。
︎ステーキング報酬は受領時レート0円取得(0円売上)説(つまり売却時に課税):当処理を行う条文根拠が見つかりませんでした。ハードフォークによる取得は0円取得となりますが、それは取得時に経済価値がないためです。ADAは経済価値を持っているため、当規定があてはまらない。
︎報酬アドレスから別のアドレスに移したタイミング説(根拠はウォレット上エポックごとの取得額は記録にならず、当時点でのみ記録がウォレットからわかるため):pooltool.ioを利用、またはウォレットの将来的な機能として、またブロックチェーンへクエリを行えば誰もがエポック毎の記録はすでに確認できる、あるいはできるようになることから、現時点のウォレット機能にそれがないことをもって別アドレスに移すまで課税されないというロジックは難しいように思える。
■計算具体例:以下参照。ざっくり想定の計算なので間違ってます。参考用でお願いします👍
︎ステーキング報酬をすべて日本円にしたほうが計算が楽?
︎ステーキング報酬が2重の課税?
上記は、誤導、誤解の起こる可能性のある言い方と考えています。
︎2重とよく表現されるのは、例えば以下の例では①と②の差が2倍あることと思われるが、ステーキング報酬と同額のADAをすべて円にしても計算の複雑さが緩和されるわけではなく、そもそも税額懸念をするのであれば、税額見込分のみを売却すること(③・④)が考えられる。
︎かつ、20万円で元手を買っている人のほうが、3000万円で元手を買っている人より利益がでかく、課税が重たくなることは社会通念的にみても、特段おかしくはないと思える。かつ、税額見込み分だけ売却していればこの差はある程度軽減される。