2020年10月15日 Dor Garbash 読了時間6分
Project Catalystは、本質的にイノベーションとガバナンスに関する一連の実験です。Cardanoのイノベーションを促進するための資金調達システムを設立しようと決めたとき、IOHKのチームは最初からそのグローバルコミュニティと協働しようと決意しました。それこそ 私たちが行ったことです。2つのファンドが既に何百もの企画案を抱えて数多くの会話が促進されている現在、私たちはこれまでに学んだことの一部を共有したいと考えました。
1. 多様性が強さとなる
Project Catalystの持つ可能性をすべて引き出すためには、Cardanoコミュニティが不可欠であることがわかっていました。しかし、ここから提供される専門知識の深さや、その真のグローバルさを完全に認識していませんでした。プロジェクトのアイデア募集に、人々は応えてくれました。これまでのところ、Project Catalystは登録ユーザー数3000、見込み案500、企画案126、そして世界70か国から5,000を超えるコメントが届いています。Ideascaleイノベーションプラットフォームで出されたアイデアには、Haskellエンジニアリングのコースの創設、西アフリカにおける分散型技術の促進、多くの分野におけるポッドキャストやブロックチェーンアプリケーションは含まれます。さらにその一つ一つが、Project Catalystコミュニティによって磨きをかけられています。
このような起業家や専門家からなる世界規模のコミュニティとともに、これまでに知られてこなかった、創意工夫の世界へと踏み出すことができるのです。さらに、最も輝きを放つアイデアをトップに据える責任はコミュニティ自身にあるのです。
2. コミュニティの利益は自己の利益
Fund2における企画案は$250,000相当のADA資金をめぐってしのぎを削っています。これは、個人にできるだけ強力なピッチを行ってもらううえで、巨大なインセンティブとなります。しかしながら、現在、自分の企画案のみに集中する代わりに、他人のアイデアの発展を手助けすることに対しても同様のインセンティブを提供する取り組みを進めています。強力なアイデアが結実すれば、それは必ずCardanoの利益となり、ひいてはすべてのADA保有者の利益となります。結局のところ、コミュニティに最も生産的な話し合いを促すためにはさまざまなモチベーションと体験を提供することが必要であると学びました。
現在、Project Catalystの参加者は、コメントや企画案を通してファンドに価値を提供した人々に対し、「クドス」あるいは肯定的評価を限定数与えることができます。これは共同的サポートを構築することを意味しています。また、コミュニティアドバイザー集団の設置も行っています。彼らは、積極的な企画案は持たないながら、思慮に富んだ公正なアドバイスを投票者に提供したいと望む、登録された参加者です。最初のコミュニティアドバイザーたちが現在合流してきており、私たちは彼らがプロジェクトにどう利するのか、目にするのを楽しみにしています。
3. イノベーションには前向きな姿勢が必要
多くの利点にも拘わらず、デジタルの世界は害のある場所にもなり得ます。詐欺まがいのYouTube動画や攻撃的なキーボード戦士たちから、Twitter荒らしや迷惑メールまで、オンラインにまつわる落とし穴には果てがないような気になることもあります。Project Catalystはこうした行動を、完全に排除しないまでも最小限に抑えるために学習をしています。一方で、これへの取り組みにはFund1参加者の経験を活用しています。こうした初期のパイオニアたちはお互いに敬意を払い協力することを促す手助けをしてくれており、これこそ私たちがシステム全体に急ぎ普及させたいと願っていることです。しかしながら、どのようなグローバルプラットフォームにとってもこれは困難であることは理解しています。
それはそれとして、人々には考える際に、アイデアがどの程度実現可能か、その効果をどのように測り、監査するか、そして、Cardanoへの潜在的影響力について焦点を当てることが奨励されると、自動的に注意喚起しています。私たちは最も才能にあふれた起業家を惹きつけたいと考えています。フィードバックが建設的であればあるほど、戦略的目標の達成に近づくのです。さらに、Catalystチームはコミュニティの行動やフィードバックについてのガイドを公開しています。虐待行為を検知した場合、私たちは行為者に警告または禁止する権利を留保します。毒性はプロジェクト、ひいてはCardano全体を損なう恐れがあるため、コミュニティが成長するにつれて当方の介入も発展します。私たちは創造性を制限することなく、熱心な議論のためのフォーラム創設に集中します。
4. 創造性への障壁を突き崩す
これまでのところ、IdeascaleイノベーションプラットフォームにおけるProject Catalystの進捗状況には満足しています。このプラットフォームは、複雑なアイデアを開発するための簡単に使用できるインターフェイスを提供しています。ただし、完全なシステムというものはありません。コミュニティメンバーの中には、このインターフェイスに圧倒されると感じる人もいます。革新的なアイデアを見つけて発展させるために、私たちの作業方式は常に創造性を強化する作用をもたらすものでなくてはなりません。
現在、Catalystの問題検知チャレンジとフィードバックフォームを通じて、コミュニティからのフィードバックに耳を傾けています。これは、何が作用して、何に改良が必要かを知るのに役立ちます。結局のところ、Project Catalystによって選ばれ資金を提供される企画案には、同様にコミュニティに受け入れられ、支持される能力が問われることになります。そしてこのためには、優れたコラボレーションツールが欠かせません。
5. リターンへの集中
プログラム内の各チャレンジは、ファンドから結果を生み出すという目的を代表しています。現在、こうした目的の効果、そしてチャレンジを満たすことにどれだけ貢献するかを計測する方法に取り組んでいます。こうした計測には、どれだけの開発者、起業家、ビジネス、Dappsが各企画案の結果として開発されたかの計測も含みます。結局のところ、計測されることは管理可能です。
例えば、現在のFund2チャレンジは以下の通りです。
「どうしたら、6か月以内にCardano上にDappsやビジネスを構築するよう、開発者や起業家を奨励することができるでしょう」。
このチャレンジはかなりオープンエンドですが、これは意図的なものです。これらの幅広いチャレンジはさまざまな角度からのアイデアを奨励するためにデザインされています。しかし、それでもその幅は、効果的に計測および追跡できる程度に抑えられてもいます。
レッスンの適用
私たちは最終的には、完全にコミュニティ自身により実行、開発、資金提供されるようなシステムを構築しています。そのうちに、IOHKはコミュニティ自身のリクエストに応じて、Cardanoの日常業務のみに携わるようになるでしょう。しかしながら、全コントロールをADA保有者に渡せるようになるまで、わたしたちは継続的なコミュニケーションを維持しなくてはなりません。
Project Catalystプログラムを通じて、私たちはコミュニケーションが双方向であるよう努めてきました。現在各ステージでフィードバックを確実に求めることにより、こうした努力を倍加しています。また、各ファンドの結論としてコミュニティ査定がきちんと実施されるようにもしています。こうした介入により、コミュニティにとって重要な問題の解消を優先することができます。
Project Catalystは驚くような旅をしてきました。以上は私たちの現在のプロセスから得た、たった5つのお土産です。実験が成長を続けるにしたがって、より多くを学び、より多くの参加者を惹きつけ、第一級のガバナンスシステムを構築していくことを楽しみにしています。これは始まりに過ぎません。
Ideascaleにログインするか次回10月21日のCrowdcastタウンホールに参加して、Project Catalystにぜひ参加してください。